データ利活用における契約の重要性

新たな天然資源とも呼ばれているデータの利活用を推進すべく、政府、アカデミア、産業界は様々な取り組みをしています。

データの利活用は複数の企業と連携して行われることも多いですが、その際に重要となるのはデータ提供者とデータ利用者が円滑に連携することです。

2017年度「データ利活用に関するアンケート調査」(渡部、平井、阿久津ら)によると、データ利活用によって成果を得るためには契約に習熟していることが重要であるとのことでした。取引に関連して作り出されるデータの使用権限が、様々なコストや寄与度に応じて公平に、契約事項として定められることなどが成果を上げるために求められているようです。

また、営業秘密の流用リスクに対して十分な対策がとられていないことが課題として挙げられています。製造業では技術流出のリスクに対する懸念があり、海外企業への技術流出については日本企業が検知できていない問題もあるとのことです。

こうした問題に対処すべく、経済産業省は2018年にAIデータ契約ガイドラインを発行しました。このガイドはデータ編とAI編からなり、Q&A方式のユースケースの紹介などで法的論点の説明をしています。

データ編では、データは所有権の対象ではないのでデータにアクセスできる者は誰でも利用でき、そのため不正利用であったり、文句を言われたりするリスクを避けるための契約のポイントについて解説しているとのことです。

AI編では、AIがあれば何でもできるのではないかという誤解を解き開発を円滑に進めるため、押さえておくべきAIの基礎知識や特性などについて解説されているようです。

こうしたガイドラインをもとに契約交渉をすすめることで、あらゆるコストが低減されデータ利活用が推進されることが期待されています。

出典元: https://www.hitachihyoron.com/jp/archive/2010s/2019/02/02a03/index.html